玄海原子力発電所は、佐賀県の玄海町にあり、九州では初めての原子力発電所として、1975年10月に1号機を運転開始しました。増大する電気エネルギー需要に合わせ、2号機、3号機、4号機と建設され、出力347万8千kWの九州最大の発電所となりました。なお、1号機は2015年4月27日、2号機は2019年4月9日で運転終了し、現在は236万kWとなっています。
玄海エネルギーパークには、原子力をはじめとした科学のエネルギーをテーマとした「サイエンス館」、九州各県の代表的な伝統工芸、民俗芸能を展示した「九州ふるさと館」の2つのパビリオン、発電所の温排水熱を利用した観賞用温室やアスレチック広場があります。
https://www.kyuden.co.jp/life_pavilion_enepark_index.html
発電所中央にあるドーム形の建物が、原子炉建屋です。
原子炉建屋では、発電に必要な蒸気を核分裂の熱で作り出しています。玄海原子力発電所は、4つの原子炉建屋のうち、3号機、4号機が運転しています。(1、2号機は運転終了)
原子炉容器では、ウラン燃料の核分裂により熱を発生させ、1次冷却水といわれる水を注入し、約320℃の熱水にします。原子炉内は、高い圧力(157気圧)をかけているため、100℃以上でも沸騰しません。原子炉容器で温められた熱水は、蒸気発生器に送られます。約320℃になった1次冷却水は、蒸気発生器内の別のパイプで送られてきた2次冷却水を蒸気にします。蒸気発生器で2次冷却水を蒸気にし、温度が下がった1次冷却材水は、原子炉容器に戻し、再び温められます。
蒸気となった2次冷却水は、タービン建屋に送られ、タービンを回します。タービンを回した後は、冷やされて水となり、再び蒸気発生器に送られてきます。
蒸気発生器内では、放射性物質を含んだ1次冷却水と蒸気となる2次冷却水が、伝熱管といわれるパイプで完全に分離されているため、放射性物質を含んだ蒸気がタービンに送られることはありません。
原子炉容器内の燃料を取り換えるために原子炉容器の蓋を開けますが、強い放射性が出てくるので、放射線を遮るためにホウ酸水を張ったうえで、蓋を開けます。
燃料プールから運ばれてきた燃料集合体を燃料取替クレーンを使い、原子炉容器の中に入れていきます。
燃料取出しは、燃料装荷とは逆の手順で、原子炉容器から燃料取替クレーンで原子炉容器から取り出し、燃料プールへ運び冷却します。
ウラン235の核分裂によって生成された核分裂生成物(放射性物質)が外に出ないように何重もの壁が設けられています。
発電所には、地震の揺れを計測する地震計が設定されています。これは、原子炉建屋地下5階(岩盤上)に設置された原子炉停止用地震感知器と広報用地震計です。原子炉停止用地震感知器は、設定された数値を上回る大きな揺れを感じた場合、原子炉を自動停止する信号を出します。
広報用地震計は、観測された地震データをホームページ等で迅速に公表するため設置しています。
玄海原子力発電所 地震観測データ:https://www.kyuden.co.jp/php/nuclear/earthquake/genkai/realtime.php
燃料取扱建屋には、核燃料を保管・冷却するための使用済燃料プールがあります。
発電で使用した燃料は、原子炉容器から取出した後も、熱を持っているため、使用済燃料プールで一定期間冷却する必要があります。
中央制御室は、原子力発電所の起動や停止、監視、そして異常事態の対応など全てを24時間体制でコントロールしています。 発電所内にある訓練センターには、中央制御室をモデルに作られたシミュレーターがあります。
タービン建屋には、原子炉建屋で作られた蒸気で回転するタービン(羽根車)とタービンとつながって回転し発電する発電機があります。タービンと発電機のセットは、3号機・4号機それぞれに1セットずつあります。
取水口では、冷却水として海水を取り込んでいます。取り込まれた海水は、タービンを回すために使用した蒸気を原子炉建屋に水で戻すための冷却に使われます。
放水口では、冷却に使用された海水を排水しています。取り込まれた海水は、蒸気を冷やすことで、温度が上がって排水されることになり、これを温排水と呼びます。 玄海原子力発電所では、この温排水の影響を少なくするために、海の深いところから水を取り込み、海水中に放水する方法を取っています。また、取り込んだ海水の温度と、排水された海水の温度の差が、7℃以内になるようにしています。
玄海原子力発電所では、国が福島第一原子力発電所の事故における教訓に基づき策定した新規制基準に基づき、発電所の設備(ハード)と運用管理(ソフト)の両面で安全対策を取っています。
詳細は、九州電力公式YouTube チャンネルをご覧ください。
緊急保管エリアでは、発電時の重大事故に備えて、電気を送るための発電機や冷却に必要な水を送るポンプ車など様々な役割の車両や機材が保管されています。津波・竜巻対策として、敷地の高さが高いところや保管庫の中に分散して保管しています。
玄海原子力発電所に隣接している八田浦貯水池は、事故が起きた際、原子炉や燃料を冷却するための水源として利用します。